朽植生ラン???
 この言葉は植物の専門語にはない。
 宇井清太の造語である。
 腐植という用語はあるが、朽植という言葉はない。
 なぜないのか???
 植物のこの用語を編み出したとき、腐るに関係する菌と、
 朽ちるに関係する菌に違いあることを想定しなかったからである。
 腐る、醗酵腐敗に関る菌はほとんど嫌気性菌である。
 朽ちるに関係する菌は好気性菌である。

 地表の舞い落ちる枯れ葉、地表に堆積する植物死骸を分解する菌は、
 前記したように好気性菌である!
 好気性菌が支配するエリアである!
 ランは菌根植物。
 どちらの菌をパートナーに選んだか。
 ラン科植物の謎を解くキイポイントは、ラン栽培の鍵は、この菌の問題である。
 ラン菌。
 この菌あ好気性菌の材木腐朽菌である。
 枯れ落ち葉を腐敗させる菌ではなく、朽ちらす菌であることがわかった。
 ラン栽培の知識の基本中の基本であるが、これまで、この菌のことが不明な点が多かった。
 2006年、宇井清太のラン菌発見、この菌を用いたラン種子の発芽で、解明されてきた。
 多くの植物の栽培試験結果から、ランが共生するラン菌は好気性菌で、
 枯れ葉、植物死骸を朽ちらす材木腐朽菌であることが解かった。
 これまでも腐生ランと共生するのは材木腐朽菌であるナラタケ菌であることがわかっていたが、
 その他のラン菌も材木腐朽菌であることが解明されたということである。
 EM菌、酵母菌、乳酸菌のような醗酵、腐敗に関係する菌ではないということである。
 植物組織を微生物が分解するには腐らすこと、朽ちらすことがあるが、
 腐らす場合は臭い腐敗臭があるがのが普通であるが、
 朽ちる場合は腐敗臭はない。
 ブナ林の林床で枯れ葉がうずたかく堆積していても腐敗臭はない。
 ここには好気性菌の材木腐朽菌が繁殖しているからである。
 以上のことからラン科植物26000種の全てが、地生ラン、着生ラン、腐生ラン、岩生ランの違いはないこと。
 全てのランが朽ちた植物組織の中で生存する「朽植生ラン」という用語を造った。
 その理由を下に記す。


ランを分類するとき、自生する場所の分類から、
「地生ラン」着生ラン」「腐生ラン」「岩生ラン」と分類されている。
この分類の仕方は、安直に目に見える姿から分類したものに過ぎない。

この分類の仕方で栽培法が書くことが、ラン栽培を書く場合の定説、常識であるが、
これを読んだ場合、非常に大きな誤りを身体に、頭に、知識として植え込んでしまう。
その結果として、栽培上で大きな誤りをおかすことになる。

この分類の仕方には、ランの種子が発芽する環境、状況が削除されている。
プロトコームが生きる姿が削除されている。
ラン科植物26000種に共通するのは
 1 種子は胚乳を持たない。
 2 必ずプロトコームというステージを持つ。
 3 菌根植物である。
 4 ラン菌と共生して生きる。
以上の4点である。

この4点の項目から考察すると、

着生ラン
着生ランの種子、プロトコームも糊のペクチンをこの時代では具備していないから着生は出来ない。
樹の樹皮裂け目、樹皮表面などに堆積した枯れ葉、コケなどの植物死骸の中で発芽し、プロトコームは
生き続けている。この姿は地生ランと同じである。差異は見られない。

  つまり全ての着生ランもプロトコーム時代は、着生ランではない。
  カトレアの種子も、樹の枝、岩の裂け目、樹皮の裂け目、当然なことであるが
  地上にも落下する。
  そこに枯れ葉、植物死骸のラン菌による炭素循環が構築されていれば、
  同じように発芽し、プロトコームは生きる。
  しかし、その次のステージ、葉を持つようになると、光、水分、養分の争奪戦で負ける地上では、
  他の植物に負け、生き残ることは出来ない。
  つまり前項で記した生きるか、死ぬかの限界点が、着生ランの種子、プロトコームに、
  試練が・・・常に与えられていて、限界点を超えた場所では次々に枯れてゆくのである。
  どうにか限界点に達しない所で生き残った場所が着生場所である。
  動物のように自分から行動して・・・樹の上にカトレアは移り棲んだのではない!
  生きるための最低限の光、湿度、養分・・・がある場所である。
  そこには必ずラン菌による炭素循環がある!
  外敵のないところで生存している姿が・・・・他の植物の生きられない過酷な条件のところで
  生きる・・・・着生である。
  非常に枯れ葉の少ない貧しいところで、つつましく生きる姿である。
  つまり、着生ランの種子発芽とプロトコーム時代は、着生ではない。
  地上でも生きているのである。プロトコーム時代は地生ランである!


岩生ラン
この岩、石灰岩、蛇紋岩などに自生するラン科植物の説明、栽培には大きな誤りがある。
遠くから観察すれば、あたかも岩に自生しているように見える。
だから安直に、短絡的に見かけで岩に生きる岩生ランとする。
日本各地の海岸の岩に自生するスカシユリ、鹿の子ユリ・・・など。
いかにも岩に自生しているように見える。
だが、よくよく近くから観察すれば・・・岩に自生などしていないことが解かる。
岩の裂け目、窪みに枯れ葉が堆積している。
ここに自生しているのである。
岩生ランの種子。
岩にコボレ落ちた種子は発芽など出来ない。
前記のユリと同じに裂け目、くぼ地に堆積した枯れ葉、植物死骸の中で発芽し、
プロトコームが生きている。

石灰岩の石灰が好きだから、石灰がないと生きられないから、石灰岩地帯で生きているのではない。
クリスマスローズ。
石灰岩地帯に自生するキンポーゲ科の植物。
用土に石灰岩をミックス???
パフィオの用土にも石灰岩をミックス???
これで素晴らしく育つ・・・そういう栽培が行われて来た。
岩盤が石灰岩。
しかし、その上に分厚く広葉樹の枯れ葉が堆積している。
この枯れ葉の中にクリスマスローズの根は張っている。
この枯れ葉の中に葉を朽ちらす材木腐朽菌が生息しているのである。
岩生ランも全く同じである。
ランのプロトコームが石灰岩を好きなのではない。
石灰成分で生きるのではない。
石灰はカルシュームはエネルギー源にはなれないからである。
石灰の多い枯れ落ち葉の中でも生きられるラン菌がいる!
材木腐朽菌がいる・・・ということであろう。


石灰岩、蛇紋岩エリアは不毛の地に近い。
多くの植物の生きられる養分はない。
こういう場所でも生きられる極貧に耐えて生きられる植物がある。
植物進化、多様性の凄さである。
石灰岩植物。
蛇紋岩植物。
こういう名前で呼ばれている植物である。
しかし、この植物が、石灰岩、蛇紋岩が好きだから、こういう極貧のエリアで生きているのではない。
泣き泣き生きているのである。
アツモリソウ。
蛇紋岩植物の一つであるが、アツモリソウの培養土に蛇紋岩をミックスしても成果は見られない。
パフィオの石灰岩ミックスと同じである。
この技術には、ランが菌根植物であるということが削除されている。
枯れ落ち葉、材木腐朽菌(ラン菌)が削除された思考から生まれたものである。
石灰岩、蛇紋岩エリアの少ない枯れ葉、植物死骸に生きる微生物、材木腐朽菌を想定しない、
視点を持たない栽培技術である。

雨水、地下水などに溶解した石灰などの高い濃度の成分の中でも生きられる、
石灰岩植物、蛇紋岩植物にも枯れ葉、死骸が生まれる。
したがって、貧弱であるが材木腐朽菌による炭素循環は構築されている。

材木腐朽菌からみれば、一般の植物の枯れ葉も、石灰岩植物、蛇紋岩植物の枯れ葉も、
変わりはない。
リグニン、セルロース、ペクチンの塊であろう。

だからこそ、こういうエリアにもラン科植物は自生する

岩生ランは岩が好きなのではない!
岩の裂け目、窪みに堆積した枯れ葉、植物死骸に生息するラン菌、
及び、ラン菌が行う炭素循環による糖、糖質が好きなのだ。
それが自生の最低限の条件なのである。
種子、プロトコームに差異はない。


地生ラン、腐生ラン。
この二つのランは、地表の枯れ葉、植物死骸の朽ちたところで芽生え、
プロトコームが生きて、このエリアに根を伸ばし、又はリゾーム状態で
養分を吸収している。

腐敗した植物組織の中では生きられない。
朽ちる炭素循環の中で生まれる糖、糖質をエネルギー源とする菌根である。


以上の説明から解かるように、着生ランは空中で発芽し、プロトコーム生きるのではない。
岩生ランは岩の中で発芽しプロトコームが生きるのではない。
あくまでも、そこに堆積した枯れ葉、植物死骸の朽ちたところで芽生え、プロトコーム、
リゾームは生き、やがて大きく生長するのである。
基本的には、大きな違いはないのである。

好気性菌による炭素循環を上手く利用して生きる植物がラン科植物である。
このような生き方の植物は、地球上の約80%以上の植物が、何らかの形で、
この炭素循環を利用して生きている。
これによって、SUGOI-ne栽培で、枯れ落ち葉に自生するほとんどの植物で、
素晴らしい生育する謎が解けるのである。



全てのランは
     朽植生ランである
HOME
BACK

kouza 2rr